

2022.06.10
国内全店舗でお客さまの声を聞く取り組みを実施。
ヘアカット専門店QB HOUSEがファンを大切にする理由
キュービーネット
ホールディングス株式会社
松尾 香織さん・平山 貴之さん
- FanPos
※FanPosは、2024年1月~アライドアーキテクツに事業継承いたしました。
“QB HOUSEのファンでいてくださるお客さまの声を聞き、お客さまと一緒に「QB HOUSEらしさ」を築き上げていきたいんです”
こう語るのは、ヘアカット専門店「QB HOUSE」を展開するキュービーネットホールディングス株式会社様のグローバルコーポレートコミュニケーション部の松尾香織さん・平山 貴之さんです。
現在、QB HOUSEでは「FanPos」(旧:ファンベース診断Lite)を導入し、全国の店舗でファンの声を聞く取り組みを実施中。施策をはじめた背景やファンの声を聞くことでどんな気づきがあったのか。おふたりに話をうかがいました。聞き手は、ファンベースカンパニーのFBC佐藤佳奈です。
創業から25年以上が経ち、浮かび上がってきた課題
松尾さん:出発点は、2018年秋から開始したブランディングプロジェクトになります。QB HOUSEにおける「らしさ」とは何か。改めて自分たちの存在意義を見つめ直し、これからの成長に向けて、ミッションやパーパスを再定義していこうというものです。
振り返ると、QB HOUSEは1996年に第1号店をオープンし、多くのお客さまからのご支持のもと成長を続けてきました。ただ、創業から月日が経つなかで、お客さまによって感じる「QBらしさ」に違いが生じるようになりました。また、社内でもその答えがスタッフにより異なることがありました。
ブランドの目指すべき姿をしっかり定めないと、それぞれが違う方向を向いて走ることになりかねない。みんなで同じ方向を向いて、QB HOUSEをより強いブランドにしたい。こうした想いが、ブランディングプロジェクトの背景にあります。

FBC佐藤:コーポレートサイトを見ると、本当に必要な事柄だけに集中すれば、人も暮らしも豊かになるという価値観「LESS IS MORE」を大切にしている旨が掲載されています。こうした価値観はその際に定義されたものなんですね。
松尾さん:はい。店舗で働く理・美容師たちの声はもちろん、お客さまにもご意見を聞かせていただきながら、QB HOUSEらしさや私たちのパーパスを再定義していきました。期間としては、約1年ほどかかりましたね。
ファンの方々と向き合っていきたい。社長の想いに共感
平山さん:実は、ブランディングプロジェクト発足当時から、社長の北野から伝えられていたことがあります。それは、QB HOUSEのファンでいてくださるお客さまの声を聞き、対話をしていきたいということです。
実際、QB HOUSEにはファンの方々が存在していることを私たちも知っていて、当社宛に感謝の手紙を送ってくださるお客さまもいらっしゃったりするんですよ。
ファンの方々の声を社内で共有することで、モチベーションをより向上させ、日々のサービスに当たれるのではないか。また、我々が大切にしている価値観やこだわりをファンの方々に丁寧に伝えていきたい。そうした想いが、北野の言葉の背景にあり、私たちもその考えに共感しました。

平山さん:ただ、ファンの方々との関係を大切にしたいと思う一方で、お客さまの声を聞く場を我々がもっていないことが課題としてありました。
お客さまからの問い合わせ窓口を設けていますが、そちらはお困りごとなどが主に寄せられる場所です。以前は、QB HOUSEの公式スマホアプリのなかに、お客さまからサービスの感想をいただく機能があったのですが、アプリの終了とともに閉じてしまいました。
どういった経緯があって、ファンになっていただいたのか。ファンの方々は、我々にどういったことを望んでいるのか。そうした内容をお客さまに聞いていくには、どういう方法が最適なのかと考えていました。そんな時に紹介いただいたのが「FanPos」です。
ファンの方々からの熱量ある声の多さに驚き
FBC佐藤:ちょうど「FanPos」の開発中に、弊社主催の「ファンベースゼミ」に松尾さんが参加してくださっていたご縁もあり、開発パートナーとしてトライアルにご協力いただいたのがきっかけでしたよね。
松尾さん:はい、すぐにトライアル利用させていただきましたね。私たちが管轄しているQB HOUSEのWebサイトにアンケートを設置したのと、幾つかの店舗でもアンケートへの回答を呼びかけてもらいました。トライアル後の本格導入では、全店舗とWebサイト等で回答を呼びかけています。
FBC佐藤:現在、店舗ではどのようにアンケートを呼びかけていらっしゃるんですか?
平山さん:こちらからアンケートを積極的にお願いしてしまうと、お客さまの本当にリアルな声が聞けなくなってしまうのではないかと思い、待合席に「アンケートのお願い」という用紙を貼ることにとどめています。

松尾さん:現在、国内のQBハウス全店舗でアンケートの呼びかけを行っていますが、平均すると月あたり全体で1,500件を超える声をいただいています。こんなに回答いただけるとは想像していなかったので、正直驚いています。
平山さん:また、驚いたのがフリーコメントへの回答率の高さですね。集計すると、回答いただいた約6割のお客さまが何かしらのコメントを書いてくださっています。長文で熱意のこもったメッセージをくださる方も多く、本当にありがたく感じています。
社内報などを通じ、ファンの声を積極的に社内共有
FBC佐藤:ファンの方々からの声は、どのように活用されているのでしょうか?
松尾さん:お客さまの声はエリア別にまとめて、全ての声を社内共有しています。また、簡単なレポートも作成していて、フリーコメントで登場することが多い単語や、どういう文脈で感謝の言葉をいただくことが多いかなどを分析し掲載しています。
平山さん:また、私たちの部署では社内報も作成していて、お客さまの声を積極的に紹介させていただいています。また、社内向けのYoubuteチャンネルをはじめたのですが、そこでも集まったお客さまの声を紹介させていただきました。
松尾さん:最近では、お客さまの声を店舗で紹介させていただく取り組みも試験的にはじめました。QB HOUSEのカット席にはニュースや天気予報などの情報が流れるモニターが備え付けてあるのですが、そのモニターでお客さまからいただいた声を紹介しています。

平山さん:このモニターは店舗で働く理・美容師も自然と目にするので、お客さまの声をより意識してもらえるのではないかと考えました。また、お客さまに対しても、お客さまの声を通じて、「QB HOUSEはお客さまにとって、どういう存在を目指しているのか」を伝えることができたらとも考えています。
ファンと共に「QB HOUSEらしさ」を築き上げていきたい
FBC佐藤:お話を聞くほど、ファンの声を大切にされていると感じます。最後に、おふたりが今後挑戦していきたいことを教えていただけますか?
松尾さん:これまでブランディングプロジェクトで再定義した「QB HOUSEらしさ」を、お客さまの声とともに、社内に浸透させることを第一に活動を進めてきましたが、今後は「QB HOUSEらしさ」を社外へ伝えることにも力を入れていきたいと考えています。
そして、社外への発信について考える際にも、お客さまの声を活かしていきたいです。例えば、「ファン度」が高いお客さまに伝わっていて、そうではないお客さまに伝えきれていないことは何か。そうしたところから、お客さまへのコミュニケーションのあり方を見直していけるのではないかと思います。
平山さん:また、お客さまから好意的な声を多数いただく店舗と売上の相関なども、ゆくゆくは分析していきたいですね。その相関が見えてくれば、ファンを大切にする文化が社内により根付いていくのではないかと思います。
ただ、あまり堅苦しいことは考えずに、お客さまから届いた声を社内でしっかりと共有し、お客さまに直に接している理・美容師たちのやりがいに繋げていく。そうした循環をつくることが一番大切ではないかと考えています。
私たちが考える「QB HOUSEらしさ」を一方的に押し付けるのではなく、対話をしながら築き上げていく。そうした関係をファンの方々と育んでいきたいですね。

インタビューをした人

Profile佐藤 佳奈ファンベースプランナー
玩具メーカー、食品メーカーなどを経てファンベースカンパニーに入社。プランニングの他、ファンベースカンパニーのサービス開発、ファンの行動心理の研究などを担当。たくさんの企業の方に「ファンを喜ばすことほど、楽しい仕事は他にはない!」と感じて頂けるよう、日々励んでいます。スポーツ観戦と海が大好き!好きなものをオススメしがちです!
FBC佐藤:はじめに、ファンの声を聞いていこうと考えた背景をお聞きしてもよろしいですか?