2022.12.13

「ファンなら知っている」は幻想?ファンにようやく伝わった実感が持てた。導入企業のキンレイに聞く、『Fan道』で培ったファンとの絆。

株式会社キンレイ 
福田 暢雄さん・武知 奈菜さん

  • Fan道

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※Fan道は、2024年1月~アライドアーキテクツに事業継承いたしました。

世の中に多くの商品・サービスがあり、情報も溢れ、企業側は伝えるのが難しい時代。もっと商品の魅力やサービスへのこだわりを伝えたい”企業”と自分の好きな商品やサービスをもっと理解したい”ファン”の絆を強くするために開発されたファンベース実践Webサービス『Fan道』。Fan道ではもっと知ってもらう「知識」、行動し感じてもらう「体験」、ファン同士や社員と関わる「交流」を通じて、ファンのファン度が高まるプログラムをパッケージ化し、提供しています。

冷凍鍋焼うどんでお馴染みの株式会社キンレイではFan道を導入し、ファンに商品開発の想いやこだわりを伝える場として活用しています。素材や製法、企業理念などを知る検定コンテンツやファン限定の新商品発表会など、ファンだからこそ嬉しい情報や活動をまとめて楽しめます。

キンレイがFan道を導入した背景とは何か。Fan道を運用するなかで、どのような発見や学びがあったのか。今回、キンレイでファンベース推進を担っている商品本部 商品部 商品企画チームの福田暢雄さんと武知奈菜さんに話を伺いました。聞き手はファンベースカンパニーでFan道を担当する田口です。

ファンベースに関心を持った背景は「埋もれてしまう危機感」

FBC田口Fan道の導入からもうすぐ1年です。導入から現在に至るまでを振り返っていきたいのですが、まず御社内でファンベースに関心を持った背景から教えてください。

福田さん発端は2012年から取り組みはじめたインナーブランディングです。それまでは特に職人気質が強い会社でおいしさを真摯に追求していれば、お客様は自然とついてきてくださるだろうという考えがありました。そのため企業案内もシンプルで自分たちのこだわりや想いを発信することはあまりやってなかったですね。

ただ良い商品が市場に溢れるなかで自分たちの大切にしているものをお客様にしっかりと伝えていかないと、埋もれてしまうのではないかという危機感がありました。また想いを届けていくには社員自らが「お客様にどんな喜びを届けたいか」を考え、企業理念に共感し、それぞれが熱量をもって発信していくことが重要と考えました。

そのため、インナーブランディングのスローガンは『社員をファンに、お客様をファンに』とし、社員からファンの輪が広がるコミュニケーションを意識しました。こうした考えがファンベースと重なるところが多く、興味を持ったことがきっかけです。

株式会社キンレイ 商品本部 商品部次長 福田暢雄さん

SNSやコミュニティはライトに繋がる場、Fan道は濃く伝わったファンと繋がれる実感が持てる場。

FBC田口その後、SNSやコミュニティサービスを通じてキンレイの魅力や想いを伝える活動を続けてこられましたよね。手応えはありましたか?

福田さん自社の味には自信があったので「まずは食べてもらおう」とサンプリングキャンペーンを中心にコミュニティを拡大して会員数が約30万人まで伸びていきました。

サンプリングをきっかけにキンレイの味に出会い、商品を好きになってくれたファンコミュニティは大きくなる中で登録してくれた皆さんとファンミーティングを開催したり、定期的にファンとの交流を続けてきました。

一方で、その交流の場限りの接点になってしまったり、ファンの方それぞれがキンレイの取り組みについて知っている内容がバラバラである中で人数が増えれば増えるほど浅い接点しか作れていないのではないかと不安を感じていました。

Fan道で、ようやくファンに深く伝わった実感が持てた。

FBC田口その中でFan道に興味をもっていただいた理由は何だったのでしょうか?

福田さん大きな理由としてはファンベースを実践する中で定量的な評価が出来ないと施策の改善や方向性の修正が難しいという課題感を持っていたことです。ファンとコミュニケーションを重ねるなかで、「キンレイをどれだけ好きになってくださっているか」の奥行きを知りたいと思ったんですね。

Fan道では登録いただいたファンの数だけでなく、「ファン度」を計測することができ、ファンの感情や状況を確認しながらファンとより強いつながりを作っていくことができます。ファンの熱量を可視化できることに大きな価値を感じました。

また、SNSやコミュニティサービスだとカジュアルにフォローいただいている方が多く、気楽に触れていただけるライトなコンテンツを中心に発信しています。一方で今までファンミーティングを開催すると、「マニアックな情報を知りたい」と要望いただくことが多く、コアファンの期待に応える場所がないことに課題を感じていました。

その点、Fan道は商品への細かいこだわりの発信や社員との交流など「キンレイのことをもっと知りたい」と思ってくださるファンだからこそ楽しめる場所として設計されています。ファンベースを実践する中で取り組みに広がりができると思いました。

マニアックな我々のこだわりも、ファンだからこそ求めている。

FBC田口ファンにより好きになってもらう(ファン度を高めてもらう)ためには「知識」「体験」「交流」の施策の積み重ねが重要と考え、Fan道ではこの3つをプログラム化し提供できるようになっています。ファンからの反応はいかがでしょうか?

武知さんまず商品や会社を知っていただく「知識」のプログラムとして、Fan道では検定コンテンツが設計されていますよね。キンレイのFan道でも、商品編・素材編・製法編・会社編の4つの検定を用意させていただきましたが、内容はかなりマニアックです。立ち上げ当初は、ファンの皆さんが検定を楽しんでいただけるかを心配に思う気持ちもありました。

株式会社キンレイ 商品本部 商品部 商品企画チーム 武知奈菜さん

武知さんただ、検定をクリアいただいた方々からのコメントを読むと、喜んでいただいている内容ばかりで安心しました。「こんなマニアックな検定を用意していただき、逆に燃えました」「検定を通してキンレイさんのファンになりました」というお声をよくいただきます。

キンレイのFan道で実施している検定プログラム例

FBC田口ファンベースカンパニーでは様々な企業のファンミーティングなどファンと企業の繋がる接点の実行支援をしていますが、多くのファンからも「もっと商品やサービスの想いやこだわりを知りたい」という声を耳にしていたんですよね。そのため、Fan道でもファンだからこそ知りたい情報を検定として用意いただくようにしているので、そうした声が届いているのは私たちとしても嬉しい限りです。

また「体験」のプログラムとして、キンレイのFan道では、ファン向けの新商品発表会や社員にインタビューした動画などを定期的に配信していますよね。こちらは、どんな反応が届いていますか?

キンレイのFan道で実施している体験プログラム例

武知さんこちらも嬉しいお声をいただくことが多いですね。例えば、商品開発を担当したメンバーに完成にたどり着くまでのプロセスを赤裸々に語ってもらったのですが、「これからは〇〇さんの顔を思い浮かべながら食べます」といったコメントをいただくこともありました。

生産者さんの顔が見える野菜に愛着がわくのと同様に、社員の顔が見えるとキンレイをより好きになってもらえるのではないかと思って、様々な社員に登場してもらっています。ですので、こうした社員の名前入りでコメントをいただけることは本当に嬉しいですね。

Fan道に届いた感想コメント

  • キンレイ検定、楽しませていただきました。最後のタケチさんの動画はとても感動しました。本当に美味しいです!親子共々、キンレイさんの大ファンです。
  • 専門店に通い詰めて商品開発されていて専門店の味を更に超える姿勢、取り組みが非常に素晴らしいです。でも、フルハマさん始め、商品開発の皆さんの体調が心配です。体調管理を留意しながら商品開発に取り組んでくださいませ。
  • ふくちゃんのPRめっちゃ分かりやすかったです。パートナー企業の皆さん、キンレイさんファンの皆さんと各地方のご当地うどん・麺が出来れば最高ですね!キンレイファームが出来ると更なる発展になること間違いないです。これからもキンレイさんを陰ながら応援しております。

※タケチさん・フルハマさん・ふくちゃんはFan道上での社員名表記となります。

福田さんFan道導入時に期待していた、ファンの皆さんにキンレイをもっと知っていただいて、好きになっていただくのに適した場だと感じています。同時に運用するなかで感じたのは、Fan道はインナーブランディングにも良い影響を与えてくれることです。

というのも、Fan道のコンテンツを準備する過程で、様々な社員に仕事へのこだわりを聞いていくことになります。普段の仕事で接点の少ないメンバーだと、どんなこだわりをもって働いているのかをじっくり聞く機会はなかなかないですよね。ファンだけでなく、私たちにとっても社員の秘めた想いを聞く場は貴重です。

武知さん社員がファンになるという点では、ファンの皆さんから想いのこもった熱ある言葉をダイレクトに頂けることも大きいし、とても心に響きます。

自分の仕事に誇りを持ったり、自社を好きになる一番の材料はファンの皆さんからあたたかい声なんじゃないかなと思います。そういう意味で、Fan道ではファンからメッセージを簡単に送ってもらえる機能が充実していて、ありがたさを感じています。

ただファンに喜んでほしい。その想いが共創の始まり。

FBC田口Fan道で出会ったファンとの「共創」事例について教えてください。

武知さんファンの声をもとにファン限定のオリジナル鍋(非売品のプレゼント商品)を製作しました。

企画の発端は「交流」のプログラムで開催したファンミーティングです。トークテーマのひとつに「ファンがキンレイと一緒にやりたいこと」というお題があり「実用的なグッズがほしい」というお声を頂戴しました。詳しくお話を伺うと「キンレイ商品をキャンプなどの野外でも楽しみたい」という背景があり、その声に応えていきたいと思いました。

そうして完成したのが『キンレイ商品を野外で楽しむのに最適化したオリジナルのチタン鍋』です。お好きなキンレイ商品にあわせて使っていただけるように丸型と四角型の2パターンを用意し、Fan道で開催した交流のファンミーティングに参加した皆さんにプレゼントさせてもらいました。

ファンミーティングから生まれたオリジナル鍋

FBC田口プレゼントされたファンはとても嬉しいですよね。今後もファンの声からキンレイを美味しく楽しめるアイテムが生まれ利用シーンが広がるといいですよね。

共通言語を持ったファンの輪をこれからも着実に広げていきたい

FBC田口今後Fan道を通じて、ファンと実現したいことはありますか?

福田さん現在のFan道では社員の顔が見えるコンテンツを発信していますが、ファンの顔が見えるコンテンツもやっていきたいですね。ファンの皆さんにインタビューさせていただき、商品やファンになっていただいた理由を語っていただくようなイメージです。

以前はファンの顔が全然わからなかったのが、Fan道をはじめたことでファンの顔が見えるようになり、社員のやりがいに繋がっています。ファンの皆さんについて深く知る企画を実施することで社内によりいい影響を与えられるのではないかと期待しています。

私たちキンレイの企業理念は「本物の美味しさ・安全安心・環境保全に全員で挑み、人々と私たちの幸せと、食文化の更なる発展に貢献します」です。

この企業理念はお客様であるファンの皆さんとパートナーである生産者様や取引先様、そしてキンレイ社員がお互いの手を取り合える状態を意味しています。この目指したい世界観を社員みんなで確認しあうため、社内会議ではこのイラストをよく共有しています。

福田さんこのイラストで示している世界観とファンベースの考えは基本的に同じだと思っています。『社員をファンに、お客様をファンに』という考えからはじまった取り組みですが、このイラストで描いているようなファンの輪が着実に広がっている実感があります。

Fan道に登録してくれた方の約34%が「知識」を突破し、共通言語を持つファンになってくれています。今後はキンレイファンの入り口に立つ人にもっとFan道へ登録してもらい、登録後は「知識」「体験」「交流」を通じてよりファンとの絆が強くなるような企画をもっと実施していきたい。

さらに多くの社員にFan道での登場機会を増やしていきたいです。ファンの皆さんにまだ紹介できていない面白い社員が沢山いるのでそういう社員とファンを繋げるのも自分たちの役割だと思っています。

「キンレイのことが好きだ」と言ってくださるファンの皆さんに、キンレイのことをたくさん知って、もっともっと好きになっていただけたら嬉しいです。

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インタビューをした人

Profile田口 彩人ファンベースディレクター

広告代理店で営業・メディアプランナー・ストプラを経て、ファンベースカンパニーに入社。プランニング業務と自社サービス『Fan道』の企画・ビジネス部門を担当。現在は教育移住で長野県在住。地域コミュニティづくり、コミュニティラジオパーソナリティ、空き家活用などの活動を実践中。趣味はサッカーと料理。

※2022年12月時点の情報です

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