2025.01.29

ファンベースはピエトロの原点。交流や体験を通じて、ファンとの関係を育むファンコミュニティ『ピエトロホームタウン』

株式会社ピエトロ 
加来 聡子さん、五十畑 紗耶香さん

  • ファンベース伴走

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サラダドレッシングなどでおなじみの株式会社ピエトロは、2020年に「ファンベース経営」を宣言し、ファンとのつながりを大切にする取り組みを続けています。2024年春には、一人ひとりのファンとの関係性を深めるべく、コミュニティサイトをリプレイスし、新ファンコミュニティとして『ピエトロホームタウン』をオープンしました。

ファンベースカンパニーは、ファンベース経営を宣言された当初から伴走してきました。今回の新コミュニティの立ち上げにおいては、ファンベースを基にしたコミュニティの目指す姿の設定やコミュニティシステムの選定など、企業とファンが中長期的に関係を築き続けられる場づくりの支援を行いました。

ピエトロがファンベースに注力する理由とは何か。また、どのようなことを意識しながら、ファンコミュニティを運営しているのか。株式会社ピエトロ ファンベース推進部 ファンコミュニケーション室の加来聡子さんと五十畑紗耶香さんにお話を伺いました。聞き手は、ファンベースカンパニーの森口裕子と蜂須賀亮(以下、FBC森口、FBC蜂須賀) です。

ピエトロの原点は、ファンの声を大切にしたものづくり

FBC蜂須賀ピエトロでは2020年にファンベース経営を宣言されました。まずは、この宣言に至った背景について教えてください。

加来さんピエトロといえばドレッシングをイメージされる方が多いかもしれませんが、実は1980年に福岡にオープンした一軒のスパゲティ専門店がはじまりです。スパゲティといえば当時はミートソースやナポリタンでしたが、ゆでたてのアルデンテの麺の食感にこだわり、しょうゆやクリームのソースやたらこや高菜など和の食材をあわせた一皿が人気のお店でした。

お客様の「おいしかった、また来るよ」という言葉を宝とし、目の前のお客様を喜ばせるために、おいしさと健康を追求する。この姿勢は創業から現在に至るまで変わっていません。

ドレッシングの販売がはじまったのも、お客様からの「ピエトロのドレッシングだと、野菜嫌いの家族がサラダを食べるので分けてほしい」というリクエストがきっかけでした。このように、一人ひとりのお客様の声を大切にしながら、丁寧にものづくりを進めてきた結果が、今日のピエトロにつながっています。

ファンコミュニケーション室 室長 加来聡子さん(左)と五十畑紗耶香さん(右)

加来さんしかし、企業規模が大きくなるにつれ、大きな市場の動向を意識することが増え、「ピエトロらしさを見失いつつあるのでは?」という危機感が社内全体に広がっていました。

そうした中で出会ったのが『ファンベース』の本でした。ファンを大切にし、その声をもとに中長期的に会社の価値を高めるという考え方に触れ、「自分たちが大切にしてきたことは間違っていなかった」と背中を押されたように感じました。実際、ピエトロ社内ではファンという言葉をよく使っており、ファンベースの考え方は馴染みやすいものでした。

ファンベースの考え方に社員も経営陣も感銘を受け、全社的に取り組むことを決めました。年間数億円をかけていたテレビCMなどのマス広告をやめたのも、その一環です。マス広告で万人にメッセージを打ち出すのではなく、ファン一人ひとりと双方向につながる道を模索したいと考えました。

そして、2020年春にはファンベースの推進を担うために「ファンコミュニケーション室」を新設し、ファンコミュニティがオープンしました。ファンコミュニティは、ピエトロとファン、さらにファン同士をつなぐ場として、ピエトロのファンベース経営において欠かせない存在となっています。

新ファンコミュニティ『ピエトロホームタウン』に込めた想い

FBC森口ファンベースの取り組みを進める中で、2024年春に新しいファンコミュニティ『ピエトロホームタウン』がオープンしました。このタイミングでコミュニティをリプレイスすることに至った経緯や、新コミュニティに込めた想いを聞かせていただけますか?

加来さんもともとファンコミュニティを立ち上げた当初の目的は「ファンのことを知る」でした。ファンベースを推進しようと決めたものの、「ファンとはどんな人たちなのか?」を社内で議論すると、さまざまな意見が飛び交い、共通の認識が持てていない状況だったんです。そこで、ファンの皆様との交流を通じて、ファンを深く理解することを目指しました。

折しもコロナ禍となり直接会えないなかで、「ピエトロおじさんのお絵かきコンテスト」をしたり、サイト上で食の楽しみを語り合ったりと、ファンの皆様と気軽に交流できるオンラインの場として、ファンコミュニティを育てていきました。

2021年7月には、創業の地である福岡でファンベースカンパニーさんにサポートをしていただきながら、初となるファンミーティングも開催しました。お客様との交流イベントはそれまでも開催していましたが、自らをピエトロファンと公言する皆様をお迎えするのは初めてのこと。「本当に来てくれるのかな…」とドキドキしたことを今でも覚えています(笑)。

ピエトロではファンミーティングを全国の様々な場所で定期的に開催。

加来さんこうしたファンの皆様との交流を通じて、ファン一人ひとりとの関係性を大切にしていきたいという想いが強まっていきました。会社としても、ファンベース経営を宣言して5年目を迎え、「ファンのことを知る」から「ファンと深く交流する」というフェーズに入りつつあることも感じていました。

そうした中で、ファン一人ひとりとのつながりを深めると同時に、ファン同士のつながりも育むことができる場所を作りたいと考え、ファンコミュニティのリプレイスを決断しました。

五十畑さんリプレイスに際しては、ファンインタビューも実施し、ピエトロのファンコミュニティに期待することを伺いました。その結果、多くのファンの皆様が、日々の生活を豊かにする「食」への関心が高いことがわかったんです。そこで、ピエトロのことだけではなく、「食」をテーマに語り合える場を目指すことに決めました。

ファンの皆様はもちろん、私たちピエトロ社員も含めて、ピエトロや「食」が好きな人同士がつながり、しあわせを感じられる場所にしたい。いつでも帰って来ることができるあたたかい場所にしたい。そんな想いを『ピエトロホームタウン』という名前に込めています。

ファンコミュニティ『ピエトロホームタウン』

時間をかけて関係を育む、ファンコミュニティならではの価値

FBC森口五十畑さんは『ピエトロホームタウン』で「町長」という肩書きを持ち、コミュニティマネージャーを務めていらっしゃいますが、運営にあたり特に意識していることを教えていただけますか?

五十畑さん一番心がけているのは、ピエトロファンの皆様のことを第一に考えることです。企業としての都合ではなく、「ファンの皆様が喜んでくださるかどうか」を常に軸に据えて、企画やアクションを行うように心がけています。

また、「コミュニティ運営においては心理的安全性を高めることが大切」というアドバイスをファンベースカンパニーさんからいただき、それもすごく意識しています。はじめて参加される方も気軽に楽しめる、安心して交流できる場を目指して、日々取り組んでいます。

FBC森口オープンから約半年が経過した『ピエトロホームタウン』ですが、これまでの企画で特に印象に残っているものがあれば教えてください。

五十畑さんファン同士のつながりを育むという意味で、特に印象に残っているのは「おうち菜園部」という企画です。

ピエトロでは「おいしいものは人の手からしか生まれない」という考えを大切にしており、人の手で丁寧に育てられた作物をレストランのサラダや商品に使用しています。また、ピエトロファンは家庭菜園を楽しんでいる方が多いことがわかっていました。そうした背景も踏まえ、家庭で育てられる野菜の苗をファンの皆様にお配りし、一緒に家庭菜園を軸にコト・トキを楽しもうという企画です。

第1期生として10名の方にご参加いただき、それぞれが苗を育てる様子をコミュニティに投稿していただきました。すると、部員同士でアドバイスをしあったり、家庭菜園に関心あるファンの皆様からも多くのコメントが寄せられました。一緒に何かをすることで、ファン同士の関係性が深まっていく様子を見て、胸が温かくなりました。

このように、時間をかけてじっくりと関係性を育んでいけることは、ファンコミュニティならではの価値だと感じています。これからも、ファン同士のつながりが自然に生まれるような企画を大切にしていきたいです。

『ピエトロホームタウン』の「おうち菜園部」

規模はあえて追わず、一人ひとりのファンと深く向きあう

FBC蜂須賀ファンベース経営を宣言してから5年が経とうとしていますが、社内にはどのような変化が生まれていると感じますか?

加来さん初めの頃は、ファンベースという言葉こそ社内に浸透したものの、具体的に何をどう進めればよいのか分からず、手探り状態でした。それでも、ファンの皆様とコミュニケーションを積み重ねていく中で、「ピエトロのどんなところを好きだと思ってくださっているのか」を、実感をもって理解できるようになりました。

最近では、それらを「ピエトロの価値」として言語化し、社内で共有できるようになっています。さらに、各事業部がファンの声をもとに「自分たちの事業はどうあるべきか?」というところにまで考えが及び始めている状況で、ファンベースが会社の中心に根付いてきていることを強く感じます。

五十畑さん私は2021年にピエトロへ新卒入社したのですが、就職活動中にはファンベースという言葉に触れたことはなく、入社後の研修で初めて耳にしました。その際も「ファンを大切にする会社なんだな」というくらいの浅い理解で、現在の部署に配属が決まった際には、「何をする部署なのだろう?」と戸惑ったことを覚えています(笑)。

その後、ファンベースについて学びながら、ファンの皆様とコミュニケーションを重ねる中で、いま嬉しく感じているのは、新入社員や入社希望者から「ファンコミュニケーション室で働きたい」「ファンベースの取り組みに携わりたい」という声が増えていることです。

これはファンベースの取り組みが社内で興味を持ってもらえている証でもあり、「楽しそう」と思ってもらえることは、ファンベースにおいて重要とされる「社内を巻き込む」ための第一歩です。その感覚が社内に少しずつ広がっていることに手応えを感じています。

FBC蜂須賀そうした声が社内からあがっているのは、私たちとしても嬉しい限りです。最後に、これからのファンベースの取り組みへの想いを聞かせてください。

加来さん私たちはファンベースの取り組みにおいて、「ファンとのコミュニケーションを基軸にする」という姿勢を大切にしています。ファンの皆様を通じてピエトロの価値を見つめ直し、それを磨き上げることで、中長期的に会社をより良い方向へ導いていくことが私たちの目指す姿だからです。

ただ、企業として運営する中で、無意識のうちに企業側の都合で物事を考えてしまいそうになる瞬間があります。そんなとき、ファンベースの原点に立ち返らせてくれる存在がファンベースカンパニーさんです。これからも、もし私たちの取り組みが本質から外れそうな兆候があれば、遠慮なくご指摘いただければと思います。

そして何よりも大切にしていきたいことは、ファンの皆様一人ひとりときちんと向き合っていくことです。たとえ、ファンコミュニティの規模が大きくなったとしても、ファンの皆様を塊として捉えない。一人ひとりのファンがピエトロを支えてくださっていることに感謝しながら、ファンの皆様の期待に応えていきたいです。

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インタビューをした人

Profile蜂須賀 亮プロデューサー

ファンベースカンパニーの立ち上げから参画。プロデューサー業務のほか、プランナー業務・広報・新規事業開発もちょっとずつ担当。ファンと企業を繋げていくことを考えていると、その企業のファンになっていくことが発覚。それはそれで素敵な事やなぁと前向きに考えられる関西人。好きな食べ物は杏仁豆腐。

Profile森口 裕子ファンベースディレクター

プランナーとオフィスのIT担当兼務。広告代理店や化粧品メーカーでデジタルマーケティングやEC運営を経験。ファンベースでは、企業の「お客様に喜んでもらいたい真摯な想い」とファンの「大好きというピュアな感情」が繋がる瞬間に立ち会えることにいつも感動しています。アンティークマーケットでの宝探しが大好き。

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