行動調査2023年4月19日
『推奨行動』に関する調査 第2弾

ファンベースカンパニーは、さまざまな業界の企業や団体、地域と伴走する中で、ファンが周囲の人々に商品やサービスなどの価値を伝える『推奨行動』が、中長期的に売上や事業価値を高める「ファンベース」において重要な要素であると考えています。
また、「ファン総合研究所」は、『推奨』(おすすめ)が起きる際の人々の心理・行動・及び環境要因の解明や、商品カテゴリごとに特性や傾向があるのかを知るために、全国の20歳~69歳の男女に対し、「『推奨行動』に関する調査」を実施しております。
初回は22の商品カテゴリを対象に推奨行動の全体傾向について調査しました。(※2023年3月に発表。以下「第1弾調査」と表記。)第1弾調査結果を受けて、高頻度に推奨が行われている消費財カテゴリや、より嗜好性の高いカテゴリ(計6カテゴリ)に対し、推奨行動が起きる条件等について追加調査を行いました。
- 調査結果
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1.おすすめが起こるのは「ネット」よりも「リアル」。
SNSよりも「家族や親しい友人」に対して行われる方が圧倒的に多い直近1年間で「おすすめした」経験のある回答者(※以下、「推奨者」と表記)全体で、「家族・親族」及び「友人や親しい人」におすすめをしている人は8割を超えていた(※複数回答)。
一方で、「ネットやSNSのフォロワー」及び「不特定多数(ネットの口コミ等)」に対しては、2-3割の人しかおすすめしていなかった。推奨行動は、互いに顔の見える身近な関係性の中で起きていることが読み取れる。
おすすめした際のエピソードについてのフリーアンサーを見ていくと、親子やパートナー、兄弟姉妹、親族、友達との日常会話の中でおすすめが行われていた。実際にプレゼントをしたり、食品や飲料の場合はおすすめしながら一緒に飲食をしたというエピソードもあった。
帰省した際に、両親にプレゼントをして一緒に飲んで喜ばれました。(ビールを推奨)
新発売当日に店頭で購入して実食。美味しかったので、夕食後に家族みんなで食べた。(クッキーを推奨)
いちばん近しい料理好きな友人の結婚祝いに圧力鍋調理器具一式を送り喜ばれた。(圧力鍋を推奨)
生地がしっかりだけど肌触り丁度良くてシンプルでお洒落で自分と主人と息子、娘やお嫁さんお婿さん全員に2着づつプレゼントして大出費だった。(アウトドア用品を推奨)
両親に勧めた。軽自動車の中でも衝突安全性が高い為。
全面UVカットガラスを使用しているグレードにした事で真夏でも暑さが軽減されて良かった。(国産車を推奨)妻の父親がバーベキューに使用する道具を探していたので、この商品を薦めた。サイズや使用目的も選べるし耐久性もある。ネットで買えば結構安く買える。(アウトドア用品を推奨)
普通のパンがすごく美味しく食べられるので、姉にもプレゼントしました。(トースターを推奨)
初めてビールを飲む娘に、すっきりする味だとおすすめした。
飲んでみたら、美味しかったようだ。 (ビールを推奨)むくみが取れるので、母や友人にお薦めした。足のむくみに困っていたので、喜んでいた。(ダイエット食品を推奨)
2.おすすめには「世間の評判」や「話題性」よりも
「自分自身の好きな気持ち」(=情緒価値)が重要おすすめする際に「特に重要だったと思う要素」について、推奨者全体では、商品の機能に対する満足度(機能価値)に次いで、商品に対する自分自身の好きな気持ち(=情緒価値)が重要視されていた。
グラフ項目の説明
- ・商品の機能/満足度
- 機能価値:おすすめした商品が「役立つ・満足できる」と思えたから
(便利/コスパが良い/品質が良い等)
- ・商品が大好き
- 情緒価値
- ・タイミング
- おすすめする場面が「とても良いタイミングだった」から
- ・相手の人
- 「この人に、おすすめしたい」と思えたから
さらに、おすすめした「商品」に関して、「この条件が必要」という必須条件と、「必須ではないが理由のひとつ」という補助条件に分けて見ていくと、ここでも商品の機能価値の次を情緒価値が占めていた。
情緒価値の中では、特に商品に対する「信頼」を必要とする回答が多い。家族や友人など、大切な人におすすめをするにあたり、その商品を信頼できることが特に重要視されているものと思われる。グラフ項目の説明
- ・品質/価格
- 「機能や対応・コスパなどが良い」
- ・利用
- 「相手(または自分)の役に立つ」
- ・信頼
- 「信頼できる」
- ・気持ちの高揚
- 「気分が上がる・わくわくする」
- ・愛着
- 「愛着がある・親しみがもてる」
- ・共感
- 「世界観や価値観に共感できる」
- ・話題性
- 「話題になる・既に話題になっている」
- ・発見
- 「新しい発見や驚きがある」
- ・他者評価
- 「既に周囲やネット上で評判が良い・高い評価を得ていた」
また、情緒価値いずれの項目においても、商品の「話題性」や「周囲の評判」に関する条件を上回っていた。
話題性や評判は商品をおすすめする理由の一つにはなり得るが、それよりも機能価値、情緒価値の方が重要視されることがわかった。3.「自動車」・「菓子」のおすすめには、特に情緒価値が重要視される
続いて、おすすめした「商品」に関してカテゴリ別の傾向を見ていくと、「自動車メーカー・ブランド(国産)」及び、「菓子(コンビニ・スーパーの菓子)」においては、特に情緒価値が重要視されることが明らかになった。
自動車は「信頼」(信頼できる)、菓子は「気持ちの高揚」(気分が上がる・わくわくする)が、機能価値である「利用」(相手、または自分の役に立つ)を上回っていた。それぞれのカテゴリの特性が現れているものと思われる。
4.さらにおすすめを促すのは「教えてあげたい相手」と
「話しやすいタイミング」おすすめにおいて、商品の「機能価値」及び「情緒価値」が重要であることが明らかになったが、さらにおすすめを促す条件は、「教えてあげたい相手 」と「話しやすいタイミング」であることがわかった。
推奨者全体では、おすすめする「相手」が「教えてあげたい」と思える相手であること、また、話しやすく価値観が近い相手であることも必要な条件とされていた。
一方、「不特定多数の人(特定の誰かではなく多くの人)に知ってもらいたい」ことを条件にする人は少なかった。
いずれも、おすすめが主に家族・親しい友人の間で行われていることを裏付ける結果となった。グラフ項目の説明
- ・優位性
- 「教えてあげたい」と思う、情報提供を喜んでくれる
- ・親近感
- 自分が「心を許している」、何でも話しやすい
- ・共通性
- 「同じ趣味や価値観を共有できる」、共通の話題がある
- ・相手への貢献
- 「この人の役に立ちたい」と思える
- ・信頼感
- 自分に対して「信頼を寄せてくれている」
- ・印象付け
- 「良い印象を持たれたい・好感を持たれたい」と思う
- ・話題性
- 「話題になる・既に話題になっている」
- ・不特定多数
- 特定の誰かではなく、「多くの人に知ってもらいたい」と思えたから
また、おすすめするタイミングも、「必須ではないが理由のひとつ」として捉えられていた。
おすすめする相手の役に立てると思うタイミングなど、ちょうどその話題について「話しやすいタイミング」であることがおすすめを促進するきっかけになっている。おすすめは推奨者の一方的な都合ではなく、相手のことを考えた適切なタイミングに合わせて行われていることがわかった。グラフ項目の説明
- ・相手への貢献
- 「相手の役に立てる場面だ」と思ったから
- ・共通性(話しやすい機会)
- 「その話題について話しやすい場や機会」だったから
(例:イベントや展示会等)
- ・共通性(ちょうどその話題が出た)
- ちょうど「相手との間でその話題が出た」から
- ・優位性
- 「自分が情報提供をする立場・教えてあげる場面」
だと思ったから
- ・気持ちの高揚
- 「嬉しい・楽しい等、気持ちが高揚してすぐ伝えたく
なった」から
- ・匿名性
- 「自分の名前や個人情報が非公開(匿名)な場面で安心」だと思ったから
5.総括
以上の調査結果から、おすすめ(推奨行動)を促すためには、商品やサービスの機能価値を伝えることを前提として、さらに以下の2点が重要であると考えられる。
▼「好きな気持ち」(情緒価値)が高まるアプローチをする
短期的な話題作りの施策だけではなく、購入した人と
中長期的に接点を持つことにより、情緒価値を高めていく。
【例】- ・ファンが集う「ファンミーティング」の実施
- ・オウンドメディアやSNS の活用
- ・店頭やカスタマーサポートなどの接点の強化 等
▼おすすめしやすい「タイミングや場」を提供する・増やす
日常の中で、商品やサービスについて話しやすいきっかけを作る。
また、おすすめが生じやすいタイミングを狙ってコミュニケーションをする。
【例】- ・友人や家族が同伴できるファンイベントの実施
- ・趣味や価値観の合う人々が集まるコミュニティ形成
- ・日常生活で使える関連グッズの作成
- ・お盆や年末年始に合わせたコンテンツ作成 等
- 調査概要
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- ■調査時期:2022年9月
- ■調査方法:インターネット調査(楽天インサイト)
- ■回答者属性:全国、20歳~69歳、男女
- ■有効回答数:2,400
- ■調査対象カテゴリ数:6カテゴリ(※ブランド名・商品名は聴取なし)
- ・自動車メーカー・ブランド(国産)※自家用車
- ・キッチン家電 ※製品やブランド
- ・ダイエットサプリ/ダイエット食品/ダイエット飲料
- ・アウトドア用品
- ・ビール
- ・菓子(コンビニ・スーパーの菓子)